作者
Masanari Tanaka,Mihoko Tsubouchi,Jun Kayashita,Katsuyoshi Mizukami
摘要
目的:地域在住高齢者におけるオーラルフレイルに関連する要因を明らかにする.特に,前期高齢者と後期高齢者を分けて比較検討し,両者の要因の異同を明らかにすることを目的とする.対象及び方法:愛知県T市で自立して生活する地域在住高齢者を対象に,基本属性に加え,体組成,握力,歩行機能,口腔機能,認知機能を測定し,さらに生活機能を基本チェックリストにより評価した.オーラルフレイルのスクリーニング評価表(OFI-8)を用いて,オーラルフレイルの危険性を評価し,危険性有群と無群の2群間で測定結果を比較した.加えて,前期高齢者と後期高齢者で群分けし,危険性有群と無群の2群間で測定結果を比較した.また,オーラルフレイルに関連する要因を探るため,オーラルフレイルの危険性を従属変数とした多変量解析を行い,さらに,前期高齢者,後期高齢者に分けて単変量解析を行った.結果及び考察:解析対象者100名の平均年齢は76.6±4.6歳であり,オーラルフレイルの危険性有群が45名,危険性無群が55名であった.危険性有群において,ポリファーマシーと抑うつ状態の割合が高く,歩行速度が有意に遅かった.また,オーラルフレイルの関連要因として独居とポリファーマシー,抑うつ状態が示され,前期高齢者,後期高齢者別では,前期高齢者が歩行速度,後期高齢者は歩行速度と認知機能低下,抑うつ状態がオーラルフレイルと関連することが明らかになった.結論:本研究結果から,オーラルフレイルの関連要因は前期高齢者と後期高齢者では異なる可能性があること,高齢者のオーラルフレイルを予防するために年齢に応じた支援が必要であることが示唆された.