摘要
ポリフッ化ビニリデン/ポリメタクリル酸メチル (PVDF/PMMA) ブレンドの紫外線透過率 (265nm) は, 混合比, 溶融状態からの冷却速度 (徐冷, 急冷) により大きく変化する. 徐冷試料は, 急冷試料に比較し, すべての混合比において, 結晶化度が高いため, 紫外線透過率が低かった. これら試料を熱処理 (120℃) すると, 徐冷試料は, 結晶化度が増大した結果, 透過率が低下するのに対し, 急冷試料は, すべての混合比で結晶化度は増大するにもかかわらず, PVDF70, 80Wt%の混合比で, 透過率が低下しなかった. X線回折より, この領域ではPVDF (I型) の結晶構造を形成し, ほかの領域ではPVDF (II型) を形成することがわかった. PVDF (I型) の結晶構造をとる場合, PVDF (II型) に比較し, 紫外線透過率が高くなる理由は, ブレンド物の結晶相 (PVDF) と非晶相 (PMMA) との屈折率の差がPVDF (I型) の結晶構造をとるが小さく, 密度のゆらぎが少なくなり, 紫外光の散乱, 反射が減少したためと考えられる. また, 混合比によりPVDF (I型), PVDF (II型) の異なる結晶構造をとるのは, そのときのブレンド物のモルフォロジーが混合比により異なるため, その結果PVDF結晶時の結晶化速度に影響を与えることが原因と考えられる.